日本の失業率は、2015年1月時点で3.6%(総務省統計局の調査より)。なかでも、若者(15~24歳)の失業率は平均より高く、7.0%との数値が出ています。失業率を低下させ、働く基盤を形成するための働き方の一つとして、ワークシェアリングがあげられます。ワークシェアリングは、一人当たりの労働時間を短縮し、労働を分け合うことで仕事を確保する働き方をいい、主に2種類のタイプに分けられます。一つは、失業者を一時的に雇用する“雇用維持型”。もう一つが勤務形態を多様化することで、雇用の機会を与える“雇用創出型”です。
ワークシェアリングは、主にドイツやフランス、オランダなどの一部のEU圏で導入されてきました。なかでもオランダはワークシェアリングの成功例としてメディアなどに取り上げられています。
オランダは失業率が高く、長引く景気低迷に悩まされていました。景気回復のため、“雇用創出型”のワークシェアリングを導入した結果、11.3%あった失業率が、2.3%に低下し、長引く景気低迷を払拭できたのです。また、失業率を低下させただけでなく、社会保障費(生活保護費)の削減による効果も同時にもたらしました。
日本では企業ごとに独自の風土が存在しているため、オランダの事例がそのまま当てはまるわけではありません。けれども、少子高齢化が進む日本社会においては、年金の支給年齢が延びることが予想されるため、その期間を補うための働き方も含め、検討していかなければなりません。失業率の高い若者に対してだけでなく、年金受給までの雇用を確保する方法の一つとして、ワークシェアリングという働き方を考慮する時期にきているのでしょう。