男女の平等をめざすことを目的として掲げた法律には、「男女共同参画社会基本法」と「男女雇用機会均等法」があります。男女雇用機会均等法は雇用に関する事項のみ規定している法律である一方、男女共同参画社会基本法は社会活動全般に関して規定している法律です。
以前は日本にも、男性優位の風潮がありましたが、戦後の民主化で男女平等が権利として謳われ、1985年に男女雇用機会均等法が制定されたことで、女性労働者の活躍が奨励されるようになりました。その後、男女雇用機会均等法は2度に渡る改正を重ね、雇用管理の見直しや女性の職域拡大に貢献してきました。一方、男女共同参画社会基本法は1991年に施行され、雇用だけでなく、政治・経済・社会のあらゆる分野において男女が共同で参画できる社会の実現をめざしています。
安倍政権は今、女性が輝く社会づくりを掲げ、女性の活躍を促進する施策に取り組もうとしています。背景には少子高齢化の問題が深刻化し、女性の労働力がより求められている雇用状況を指摘することができます。しかし、そのかけ声とは裏腹に待機児童の問題を始めとした課題に対するアプローチは弱く、男女共同参画社会基本法の理念を十分に浸透させるまでには至っていません。
労働者の雇用を守り、働く環境を良くするのは労働組合の役割であり、男女共同参画社会の実現も、労働組合が取り組む大きなテーマです。男女共同参画社会を実現するためには、差別のない職場環境づくりが重要であり、労組はそれぞれの職場に適した形の環境改善の任を担うべきです。また、労組はポジティブ・アクションの推進、育児・介護支援制度の拡充、ワークライフバランスの実現などにも積極的に取り組んでいかなければなりません。具体的な取り組みとしては、男女共同参画社会基本法などの法制度の周知や女性役員の積極的登用、ハラスメント防止対策促進などが挙げられるでしょう。