日本では、「CSR=企業が事業以外で行う社会貢献活動」というイメージを持つ人が多いですが、CSRとは、企業活動に「付随する」取り組みではなく、「企業活動そのもの」のことを指します。
企業活動を行ううえでは、顧客、株主、従業員、取引先、地域社会、自治体や行政など、数多くの利害関係者(ステークホルダー)が存在します。CSRとは、本来、企業がそういった様々なステークホルダーや社会全体に対する責任を果たし、全てのステークホルダーにとって利益となる活動であるべきなのです。
現状では、CSRへの取り組みは企業が主導しています。しかし、もともと従業員の雇用や労働とはCSRの中核に位置するものであり、労働組合の活動は自ずからCSRへと繋がっています。また、労働者は、企業側から意見を出すことができる唯一のステークホルダーです。コンプライアンスや企業倫理に問題があれば、雇用や労働条件にも影響を及ぼします。
そのため、労働組合にはより一層CSRに対する意識を高め、主体的に関わっていくことが求められています。企業の持続的発展を支えることは、労働者にとっても利益に繋がるのです。
労働組合がCSRに関与すると、企業側にもメリットがあります。労働者からの視点の導入によりCSRの質を上げることができ、企業価値が高まるからです。労働組合は、労使協議だけではなくCSRの観点からも会社について考え、活動していきましょう。