労働協約の内容には、賃金や労働時間などの労働条件に関する取り決めや、団体交渉や争議行為などの組合活動に関する約束事などがあります。使用者との間で労働協約を結ぶことができるのは労働組合だけが持つ権利であり、組合活動の大きな目的の一つであるといえます。労働協約を締結すると、協約の有効期間中は一定の労働条件が保障されるため、労使関係が安定し、労働者は安心して働くことができます。労働協約の締結は、労使双方にメリットをもたらすのです。
労使協定と労働協約は、どちらも労使間の約束事ですが、効力の強さなどが大きく異なります(※表参照)。36協定などの労使協定は、労使間に権利や義務を生じさせるものではありません。一方で労働協約は労使間の権利や義務を定めるものであり、労働協約で定められた内容は就業規則や労働契約よりも優先されます。
労働協約を定めるための労使交渉を行うときは、労使間で合意した部分から順に協約を締結していくとスムーズに進めることができます。一つひとつの協約を個別に積み重ねて、理想的な労働条件に近づけていきましょう。また、労働協約は組合員の働き方を左右するものであるため、協約の内容を組合員に周知することも大切です。組合員の意見を集めたり、職場実態が協約通りになっているか等を定期的に調査するなどして、よりよい協約を作っていきましょう。
労働協約 | 労使協定 | |
労働者側の当事者 | 労働組合 | 事業場の過半数を組織する労働組合または過半数の代表者 |
民事上の効力 | あり | なし |
適用範囲 | 労働協約を締結した組合の組合員のみ | 当該事業場の全労働者 |
有効期限 | 有効期限を定める場合は3年を超える定めはできない | 制限なし |
(出典:独立行政法人 労働政策研究・研修機構 労働問題Q&A)