民主主義国家である日本では、選挙を行い、国民の代表である国会議員を選出します。しかし近年、投票率が大幅に低下しており、特に若者の政治離れは深刻な問題となっています。2015年6月に公職選挙法が改正され、選挙権が18歳から与えられるようになりますが、これは若年層の政治への関心を高め、積極的な参加を促すことも目的の一つとされています。
政治への関心を高めることは、労働組合にとっても大きな課題です。労働組合は、組合員の雇用を守り、より良い暮らしを実現するために、労使交渉を行い、処遇改善に向けた活動を行っています。しかし、社会保障や税金、産業政策などの課題は、業界や社会全体に関わる問題であり、一企業の労使交渉だけでは解決できないため、政治の場へ訴えていかなければなりません。
そこで、組合員の想いを政治の場まで届ける方法として、共通の理念を持った政治勢力・政党・個人と協力したり、組織内議員を擁立したりすることが考えられます。組織内議員は、会社や業界の実状に通じているため、組合員の想いを適切に政治の場まで届けてくれるとともに、組合員に政治をより身近に捉えてもらうための媒介にもなるでしょう。
ただし、憲法で思考や信条の自由が保障されている以上、組合が特定の政党や議員への投票を強制することはできません。労働組合が政治活動を行う場合は、その理由と目的を明確にするとともに、組合員一人ひとりの理解が得られるよう、広報活動などを丁寧に行っていく必要があります。