労働者が子どもの養育を目的に取得できる「育休」。これには「育児休暇」と「育児休業」の2種類があり、それぞれ内容が異なります。育児休暇とは、育児のために取得する休暇のことを指し、配偶者出産休暇や行事参観休暇など、企業ごとにさまざまな制度が定められています。一方、育児休業は、国の法律で取得が認められている休業制度です。一定の条件を満たせば、子が1歳になるまでの間で取得できます。賃金は保証されないものの、育児休業給付金等の支給が受けられます。
育児休業は法律で守られた権利のため、企業内で制度として明文化されていない場合でも、申請を行えば取得が可能です。しかし現状では、取得を断られたり、取得を理由に不当な扱いを受けるケースなどがあります。また、妊婦に対してはマタハラが存在する職場もあり、社会問題化しています。
育児休業は男性も取得できます。父母ともに育児休業を取得する場合は父親の取得可能期間が延長される「パパ・ママ育休プラス」という制度があります。ところが、厚生労働省の2014年度の調査によると、男性の育児休業取得率は2.3%と低い状況が続いています。また、連合が実施した「パタニティ・ハラスメント(パタハラ)に関する調査(2014年)」では、子どもを持つ20歳~59歳の男性の11.6%が育休を理由にパタハラを受けた経験があるとの調査結果もあり、取得しづらいと感じている男性が多いのが現状です。
そのため労働組合は、育児休業に対する職場内の理解を高めることで、労働者が育児休業を取得しやすい環境をつくると同時に、スムーズに職場復帰ができる体制を整える必要があります。さらには、法律で定められた範囲にとどまらず、それぞれの職場環境に合った育児休暇等の両立支援制度を、労使協議を通じて構築することが求められます。