USRとは、「CSR=Corporation Social Responsibility:企業の社会的責任」から派生した言葉で、労働組合の社会的責任(Union Social Responsibility)を意味します。
労働組合が社会的責任を担うこととは、労働組合の機能や役割を活用してステークホルダーや社会に貢献することであり、CSRにおいて「企業活動そのもの」が重視されるように「労働組合の活動そのもの」で社会的責任を果たしていくことが望まれます。
なお、USRという言葉は「University Social Responsibility:大学の社会的責任」を指す場合もあるので区別が必要です。
USRには2つの「責任」が存在します。
■「企業内労組としての社会的責任」:企業に対するチェック機能
労働組合の使命である「雇用を守る」ために、働く人の立場から企業経営をチェックする。また、労働環境の改善・ワークルールの制定などに取り組み、すべての働く人が安心・安全に誇りを持って働ける環境を作る。
■「社会的存在としての責任」:労働組合の人/資源を活かす働きをする
社会に対して何ができるかを考え、マンパワーや情報力・交渉力を資源として活用しながら、社会的課題の改善や地域社会の活性化に取り組み、共益(メンバーシップサービス)を広く公益につなげていく。
労働組合は企業にとって最も身近なステークホルダーです。企業経営を経営側に委ねるのではなく、企業統治を担う一員として積極的に役割を果たしていくことが大事です。
また、労働組合も社会を構成する一員です。これまでも人権問題や、平和行動といった社会的な課題に取り組んできましたが、今後も労働組合の機能を活かして社会貢献事業に取り組んだり、大規模災害時の被災者支援などに力を注いでいく必要があります。
なお、働きやすい社会を構築するために、働く人の声を集め「政策」として政治に訴えかけ、組織内外の世論を形成していくこともUSRのひとつとして捉えることができるでしょう。
労働組合の存在意義が問われている今、自らの運動を「社会化」することで、存在価値を高めていくことが求められています。これからの労働組合は、社会を構成する一組織であるという意識を持って行動すること、労働組合としての活動領域を広げて社会的責任を果たしていくことが重要です。