介護休暇と介護休業は、仕事と介護の両立を支援する制度です。法定では、介護休暇は通院の付き添いや介護サービスの手続き代行等のために単発で1年に5日(介護される家族が2人以上なら10日)、介護休業は日常の世話など継続的支援を目的に、連続する期間で最長93日取得できます。
1995年、介護休業が努力義務として法制化され、97年に義務化されました。2017年から介護休暇は半日単位で、介護休業は3回まで分割して取得できるようになります。介護休業給付金の給付率も17年、最大で現行の40%から67%へ引き上げられます。
ただし、介護休業給付金の支払いは原則として会社の判断に委ねられ、申請者全員への支払いを義務化した法規定はありません。そして育児休暇の取得率は約8割であるのに対し、介護休暇・介護休業は0.1%未満と極めて少ないのが現状です。
家族の介護に直面すると、多くの人が最初は変則勤務や有給休暇で対応するものの、その場しのぎの対応では次第に立ち行かなくなり、介護休業を取得せざるを得なくなります。介護休暇・介護休業を何度か取得した結果、左遷や降格、離職させられる実態も見逃せません。
仕事と介護の両立には「職場の理解」や「柔軟な働き方の整備」、「介護費用の公的負担の拡大・賃金保障」を求める声が多く挙がっています。介護休業の取得可能日数を増やすなど、労使交渉の結果、独自の規定を作る会社もありますが、実際には制度の不備から介護離職が深刻な問題となっています。介護に悩む働き手を守るため、労働組合が企業とともに、実態に即した支援制度を整備することが喫緊の課題です。