ブラック企業

2014.11.5
明確な定義はないが、一般的に長時間労働やサービス残業、高ノルマなどの過重・違法労働が常態化し、労働者を使い捨てにする企業などをさす。
企業の“ブラック化”を防ぐ、労働組合の存在

 近年話題となっている“ブラック企業”。元々はインターネットサイトから発祥した造語でしたが、小説や映画に取り上げられ、瞬く間に世間へ広がりました。2013年度には流行語大賞を獲得するなど、今や社会的な問題の一つとなっています。
 
 ブラック企業が増加した背景には、1つに20年以上続く日本の景気低迷があげられます。不況の中、生き残る手段として、従業員のコストを削減する企業が増加したことが原因だと言われています。また近年、企業のグローバル化で産業構造の変化とともに雇用の流動化や規制緩和がすすみ、これが終身雇用の崩壊につながり、非正規労働者の増加や不安定な雇用形態を生み出しています。
 日本の景気がよく、求職に困らない時代であれば、例えブラック企業に勤めていても転職するという選択肢がありました。しかし、就職困難な今の時代では過酷な労働条件を強いられても会社を辞めることのできない人が増加し、ブラック企業の存在がより表面化したといえるでしょう。
 

 ブラック企業の増加を防ぐには、労働組合の存在が重要です。労働組合が果たす役割は、労働者へのワークルール意識の譲成や、雇用制度、経営環境の変化に対応し、労働環境を改善するなど、多く挙げられます。しかし、ブラックと言われている企業の場合、労働組合が存在しないケースがほとんどで、連合、産別をはじめ、既存の労働組合がそれぞれの立場からすべての労働者を守っていき、取り組みをスタートさせることが重要です。
 たとえば連合は、日本の労働組合のナショナルセンターとして、政府や関連団体などと積極的に交渉することが求められますし、産別は、業界全体で働き方を見直し、業界一体となって労働者環境の改善をめざすことが必要です。そして、単組は自らの会社の労働環境改善に取り組むとともに、取引先等の労働環境にも注意を払い、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)が確保される環境づくりに貢献することが求められるでしょう。

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