有給休暇とは、使用者から賃金が支払われる休暇日のことをいいます。6カ月以上勤務し、その全労働日の8割以上出勤した労働者に対して最低10日の有給休暇を付与しなければなりません。有給休暇は「自由な時に休める」のが原則。“事業の正常な運営を妨げる場合のみ”使用者は「時季変更権」という権利を行使し、休暇日を他の時季に変更することができます。このようなケースを除き、使用者から有給休暇の取得を拒否した場合は、法律違反になります。
日本の有給取得率は世界各国と比較すると、極端に低い実態があります。休暇を取得しづらい環境は、働きすぎ、長時間労働の温床であり、睡眠不足が続くと、高血圧、心臓病などの健康障害が起こりやすくなると言われています。また、パートや派遣社員などの非正規雇用者も有給休暇付与の権利があるにも関わらず、実際に取得している人は少数にすぎません。有給が取得できた場合でも、賃金不払いや不当な評価などの問題が発生しています。
労働組合は、有給休暇の取得率アップの旗振り役となり、長時間労働を抑制する役割を担っています。有給に関するキャンペーンの実施や、職場単位で取得日数を調査するなどして、有給を取得しやすい環境を整備する必要があります。また、労使交渉を実施し、有給を時間単位で取得できるようにすることも、有給を取得しやすくする方法の一つです。
しっかりと休めるためのフォローを労働組合が行い、長時間労働を抑えることは、社員が退職するリスク、疾病にかかるリスクを下げることにつながります。持続可能な働き方に導くことは、使用者にとってもメリットは大きいのです。また、労使協働で生産性向上に努めるなど、有給取得の増加が収益の向上につながるような働き方を提案していくことが大切です。