労働三権をひと言で記すと、それぞれ下記のように言い表わせます。
・団 結 権……労働者が、労働条件の維持・改善のために団結する(労働組合をつくる)権利。
・団体交渉権……労働者が労働条件について、団結して経営者と交渉する権利。
・団体行動権……労働者が団体で行動し、ストライキなどの争議行為を行う権利。
労働三権は、日本国憲法によって保障された労働者の基本的権利です。日本国憲法の三本柱(国民主権・基本的人権の尊重・平和主義)のうち、基本的人権の尊重に含まれるものであり、一部の公務員を除き、すべての労働者に与えられています。日本国憲法制定前の日本では、労働運動は国家によって弾圧されていましたが、戦後の法改正により労働者の権利は保障され、労働運動が合法化されました。
労働三権を具体的に保障するために制定された法律を「労働三法」と言い、労働組合法・労働関係調整法・労働基準法の三つからなります。労働三法によって労働組合の活動は法により保障され、ストライキなどで企業に損害が出た場合も、組合員が賠償請求されることはありません。一方で、労働組合に属さない者が起こした、正当な争議行為以外で生じた損害については、関与した者は厳しく罰せられます。
現在、労働組合の組織率は過去最低を記録しており、その要因のひとつとして、増え続ける非正規雇用者の組織率の低さがあげられます。非正規雇用者の労働三権は有名無実化している職場も多く、ブラック企業問題の温床になっているのが現状です。労働組合の今後の役目として、非正規雇用者を含めた労働者の権利向上に努めるとともに、労働者が自身の持つ権利を理解するきっかけをつくり、労働三権の大切さと存在意義を伝え続けていくことが重要です。