非正規雇用

2015.8.24
派遣社員、契約社員などの期間が限定された雇用や、正社員以外のパートタイマー、アルバイトなど。
非正規雇用者も労働組合の一員へ

 非正規雇用者の数は年々増加を続け、2014年は約1,962万人に上りました。雇用者全体の37.4%を占め、働く人の実に3人に1人以上が非正規雇用で働いているということになります。90年代中盤以降の企業人員スリム化の動きに、99年の労働者派遣法の規制緩和もあいまって、企業は正社員数を削減し、低コストで雇用できる非正規雇用者で労働力を補うようになったのです。
 現在では非正規雇用者の働き方は多様化し、労働時間が正社員並みとなるケースも増えています。しかし、保険・年金加入や賃金、福利厚生などの労働条件は、正社員と比べて不安定なまま。従来は配偶者控除の範囲内で働く主婦パートや学生アルバイト、高齢者パートが非正規雇用者の中心でしたが、生計を担う非正規社員も増えていることから、待遇の改善を求める声は大きくなりつつあります。
 

 そうした中で近年、非正規雇用者の組織化を進める企業別労組が増えています。1970年以降、労組全体の組織率は低下を続けていますが、パートタイム労働者の組織率は1990年の1.5%から2013年には6.5%へ上昇し過去最高の数値を記録。組織化に取り組む労組の中には、非正規雇用の組合員を役員や執行委員、専従役員に加えている労組もあります。正社員組合員数の減少により36協定で必要とされる「職場人数の過半数」の確保が難しくなってきたことや、企業側も人手不足の中、非正規雇用者の意見を取り入れて人員を確保する必要性が出てきたことなどが背景にあると考えられます。
 非正規雇用者が労組に加入すれば、組織が強化され、会社に対する意見力が上がることが期待されます。加えて、より現場に近い立場からの意見を会社に届けることができたり、正社員と非正規社員が同じ目標に向かって活動することで組合員間のコミュニケーションが活性化するといったメリットもあります。
 組織化を進めるにあたっては、非正規雇用者の多様な意見にどう応えていくか、非正規組合員の組合への関心をどう高めていくかなどの課題もあります。それらの課題を非正規雇用者とともに乗り越え、処遇改善をめざして組織化に取り組んでいきましょう。

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