男女雇用機会均等法は、全ての労働者が能力を十分に発揮できるように、雇用環境を整えることを目的とした法律です。労働者が性別によって差別されないこと、また働く女性の母性を尊重することを基本理念に掲げています。
2014年には、以下の4点が改正されました。
1.間接差別となり得る措置の範囲の見直し | 全ての労働者の募集・採用、昇進、職種変更の際に転勤要件を設けることは、間接差別に該当するとして禁止されました。 |
2.性別による差別事例の追加 | 結婚していることを理由とする職種の変更・定年の制定に、男女で異なる扱いをしている事例が追加されました。 |
3.セクシュアルハラスメントの予防・事後対応の徹底 | 職場におけるセクハラには同性に対するものも含まれることが明示されました。 |
4.コース等別雇用管理についての指針の制定 | これまでは「留意事項」でしたが、より明確な記述とした「指針」が制定されました。 |
こうした法改正や職場環境の見直しが随時行われていますが、女性就業率に未だに“M字カーブ”(グラフ参照)が存在しているように、男性と比べて女性の雇用は不安定。家事・育児と仕事の両立が難しいこと、一度職場を離れると復職や再就職が困難なことなど、女性が就業しやすい社会の実現には課題が多いのが現状です。しかし今後、少子高齢化が進むにつれて、労働力不足を補うために女性の労働力がますます必要とされます。また企業には、性別を問わず様々な能力を持つ人を雇用して競争力を高めていくことが求められています。
安倍政権は、2020年までに指導的な地位にいる女性の割合を全体の30%まで持ち上げるという目標を掲げています。しかし連合は、女性管理職を増やすだけでなく、全ての女性が当たり前に就業でき、誰もが活躍できる社会をめざすことが大切だと強調しています。そのためには、男女が平等に就業できる制度を整えていくのと同時に、根強く残る性別分業役割意識を変えていかなくてはなりません。労働組合は、男女雇用機会均等法を遵守し、性別による差別のない雇用を行うよう会社に働きかけることのほかにも、セクハラ・マタハラの相談窓口としての機能を果たすことや、仕事と家庭の両立支援、ポジティブ・アクションの推進といった取り組みを進めていくことが求められています。