「団体交渉」が労使協約の締結を目的とするのに対し、「労使協議」は、賃金水準の改定、一時金、労働時間などについての意見交換や話し合いをすることが主な目的です。会社側が団体交渉を拒否することは不当労働行為に当たり、労働基準法で禁じられていますが、労使協議には法的拘束力はありません。しかし、労使協議を行うことは、労使双方にメリットがあります。
というのは、労使が話し合う場を持つことで、日々起きている労働をめぐる問題や職場環境に関する意見や考えを伝えやすくなるからです。また、意見を申し立て、具体的な改善がなされれば、働く人の労働意欲を高めることにもつながるでしょう。
経営者側の利点としては、自身では気付きにくい、現場で起きている問題や課題を把握できるという点が挙げられます。率直な意見交換によって、経営課題を発見することもできます。
労使協議を行う際は、あらかじめ協議の目的と論点を明確にすることが重要です。労使が情報交換をする場であっても、「ただの話し合い」をするだけでは意味がありません。労使双方にとって有意義な場となるようなテーマ設定が不可欠になります。定期的に労使協議の場を設け、有益な話し合いが行える環境づくりをすることで、労使間の相互理解を深めることにもつながります。労使協議は、さまざまな要求の実現を求める労働組合の最も重要な役割の一つだと考えられるでしょう。