最低賃金には、都道府県ごとに異なる額が定められる地域別最低賃金と、特定の事業や職業に定められる特定(産業別)最低賃金の2種類があり、いずれか高い方の最低賃金が適用されます。地域別最低賃金は、パート・アルバイトなどの非正規労働者を含む全ての労働者とその使用者が対象です。労働者に必要な生活費や、一般的な労働者の賃金、企業が支払うことのできる人件費などをもとに最低賃金審議会で審議され、毎年変更されます。また特定(産業別)最低賃金は、その地域の基幹産業など、地域別最低賃金よりも高い金額を定めることが必要な産業が設定の対象です。最低賃金を下回る額で労働契約を結んだ場合は無効となり、最低賃金額と同じ額で労働契約を結んだものとみなされます。
最低賃金制度は、労働条件を改善するだけでなく、労働者にとってのセーフティネットの役割も担っています。労働者への最低賃金の周知を徹底し、最低賃金を下回る労働を厳しく取り締まることで、ワーキングプア問題解消へと近づき、また、最低賃金を上げて所得が底上げされれば、格差の縮小にもつながるのです。現行の最低賃金には地域間に大きな差がありますが(2014年10月:東京都888円、沖縄県など7県677円)、地方の最低賃金が上昇すれば、地方で働く若者が増えることも予想されます。そのため連合は、最低賃金審議会に労働者側代表として委員を送り、毎年の最低賃金額引き上げに向けて取り組んでいます。