安定した生活を送るために、労働に対して適正な賃金を得ることは基本です。しかし、「働いているのに、生活が苦しい」年収200万円以下のワーキング・プア層は年々増加しており、所得格差が広がりつつあります。2012年時点で年収200万円以下の労働者は1090万人にのぼり、給与所得者の4分の1を占めています。1日8時間、フルタイムで働いても賃金が生活保護水準に達せず、生活を維持することが困難な人も少なくありません。
この背景のひとつに、90年代中盤以降の非正規雇用者の増加があります。派遣社員やパート・アルバイトなどの非正規雇用者は、正社員と同じように働いていても賃金が低い場合が多く、また全労働者に占める非正規雇用者の割合も増えており、2015年の調査では4割に達しています。
さらに、最低賃金水準が低いことも要因のひとつです。2015年度の最低賃金の全国平均は798円で、これでは1日8時間働いても年収200万円を超えることができません。
そこで連合は、独自に「連合リビングウェイジ」(労働者が最低限の生活を営むのに必要な賃金水準)を算出し、春季生活闘争の到達水準を決定する際の参考指標や、最低賃金審議会の主張の根拠などに活用できるよう提示しています。ワーキング・プア問題を解決に導くには、非正規雇用者の労働条件を改善し、雇用を安定させることが重要です。最低賃金の引き上げや、ワークルールの周知の徹底など、働く人の雇用や賃金を適正化することが求められています。