法定労働時間

2016.3.23
労働基準法で定められている労働時間の上限
心身ともに健康で快適に働くために

 労働基準法では、労働者の過重労働防止や健康確保を目的に、労働時間に制限を設けています。これを法定労働時間と言い、「1週間のうち40時間を超えて、労働させてはならない」「1日のうち8時間を超えて、労働させてはならない」と定められています。そのため、法定労働時間を超えて勤務する際は、労使協定を締結し、労働基準監督署に届け出なければなりません。また、時間外労働と休日労働が発生した場合は、割増賃金の支払いが必要です。

 一方、就業規則や雇用契約書によって決められた労働時間を、所定労働時間と言います。所定労働時間を超えて働いた場合でも、法定労働時間を超えていなければ、法律上は割増賃金を支払う必要はありません。

 平成25年10月に厚生労働省労働基準局が発表した調査によると、中小企業の56.6%が時間外労働・休日労働に関する労使協定を締結しておらず、そのうちの半数以上が、時間外労働や休日出勤があるにも関わらず、労使協定を締結していない“違法残業”の状況であることが判明しました。経営者が法律で定められた法定労働時間の趣旨を理解せず、時間外労働を強いる状態が続くと、精神疾患などを引き起こす可能性が高まります。これらの問題は、労働者個人の精神的・体力的な資質が原因であるとされがちですが、職場の構造的な問題として捉えなければなりません。労働組合は、長時間労働を抑制し、法定労働時間内で勤務できる職場環境をつくっていく必要があります。
 労働者もまた、自分自身を守るために、労働者が持つ権利やワークルールについての知識を習得し、適切な労働環境で働いているかどうかを自ら判断できることが大切です。今後は、社会に出る前の教育課程で、労働法等のワークルールについて学ぶ機会をつくる活動を促進することも、労働組合の重要な役割になっていきます。

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