ポジティブ・アクションは、労働者の男女格差を解消し、実質的な機会均等を実現しようと、女性労働者のために企業が自主的かつ積極的に行う取り組みのことです。もともとは米国の人種差別に対する「アファーマティブ・アクション」をモデルにしたもので、後に欧州で女性向けの暫定的な改善措置を示す言葉として使われるようになり、広まりました。
ポジティブ・アクションの目標は、採用拡大や職域拡大、職場環境・風土改善などの5つを想定しています。具体的には数値枠を設定するクオータ制、先輩社員が個別支援を行うメンター制度などの手法により各社が取り組む事例が見られます。
しかしながら、日本の場合、企業の管理職の女性比率は各国と比べてかなり低水準で、実質的な機会均等はまだまだというのが実状です。その要因としては、結婚や子育てなどによる女性の離職率の高さが挙げられます。また男性は仕事、女性は家事・育児と、性別的な役割分担への意識が根強く影響していることも背景として挙げられます。
労働組合においても、女性が活動の中心的存在になっているところはまだ多くありません。組合役員(執行委員)に占める女性の割合は、会社の管理職に占める女性比率が上昇し始めた2000年代も増えていないのです。また労働組合も企業を構成するステークホルダーの一つであり、女性の声を反映した職場を作るため、女性の登用を積極的に図ることを企業に働きかけていくことが必要です。