30~50代の働き盛り世代の間で、うつ病を始めとする精神疾患や自殺が年々増えています。深刻な状況にもかかわらず、メンタルヘルス対策は企業ごとにばらつきがあり、十分とは言えないのが現状です。
こうした状況を受けて施行されたのが、ストレスチェック制度。ストレスに関する質問表に答えることで、労働者が自身のメンタルヘルスの状態を把握するとともに、雇用者は従業員の受診結果を集計・分析し、職場の環境改善に役立てることを狙いとしています。
注意したいのは、ストレスチェックを実施しても、その結果が職場環境の改善に生かされないこと。また、プライバシーの扱いに対する不安や、業務への悪影響を心配し、従業員がストレスチェックの受診を拒否したり、正確に回答しないことです。
そうした注意点をクリアする上で、大きな鍵を握るのが労働組合です。各事業所においてストレスチェック制度を運営するのは衛生委員会という組織。労働者が50人以上いる事業所は設置を義務付けられますが、労働者の過半数で組織される労働組合がある場合、その労働組合からの推薦を考慮してメンバーを決めることが定められています。そのため、労働組合はストレスチェック制度の運営体制づくりの段階から十分に関わることができるのです。また、労働者へのフォローや意見の代弁も、組合だからこそ効果的に行えることの1つ。高ストレスの労働者に対するフォローに努める。そして、雇用者の取り組みが労働者にどう受け止められているかを聞き、現場からリアルな情報収集を行い、労使のパイプ役となる。そういった役割を担うことで、労働組合がストレスチェック制度の効果的な運営をサポートしていくことができます。
ストレスチェック制度を活用するためには、雇用者と労働者の双方が、制度を正しく理解する必要があります。そのためには、労働組合がまず制度を十分に理解し、双方に適切に働きかけることが大切なのです。