サービス残業、過労死、パワハラ、セクハラ……。労働にまつわる問題の多様化に伴い、労組の必要性は増しています。こうした多様な問題に向き合うためには、従来の労使交渉や職場環境の改善に加えて、労働組合の機能を高めたり、政策制度に関する問題に取り組むなど、幅広い取り組みが求められます。また、労組の活動は適切な組織運営があって初めて成り立つものであり、組織運営の中心として組織をリードする人材が必要です。
三役とは、労働組合の中心的な役割を担うトップリーダーで、概ね次のような役割をもっています。
・委員長…労組内での議案に関して最終権限を持つ
・副委員長…委員長の補佐にあたり、委員長が最終判断を下せない状況にある場合には、委員長に代わって最終権限を持つ
・書記長…組合員や雇用者の窓口となり、事務や会計、日程調整、雇用者側の労務担当との調整や事前交渉などを担当する
三役を務める上で必要なのは、何よりリーダーとしての資質。当事者意識を持って現場の声をくみ取り、労組を代表して雇用者側に交渉するためのコミュニケーション能力や、問題解決への積極的な姿勢が大切です。加えて、労組を正しく導いていくための判断力と統率力、また労働を取り巻く環境の変化を直ちに捉え、時代に合った労組の在り方を導き出す柔軟な思考力も求められます。
さらに、幅広い知識や教養も大切で、労組、労働にまつわる法律、政治などに関して十分な知識があるからこそ、雇用者と対等に交渉したり、問題や課題を解決するための具体的な方策を立てることが可能になります。また、冒頭に述べたように、労組の必要性は日々高まっているものの、多くの労組はその存在意義を組合員、働く人に訴求できていない現状があり、そうした諸課題を克服していくことも求められています。