近年、長時間労働による過重労働が社会問題になり、その解決策の一つとして「勤務間インターバル制度」に着目する動きが顕著になり始めました。この制度はEU諸国が1993年に制定したEU労働時間指令が始まりとされ、恒常的な過重労働や残業を抑制することを目的に、「24時間につき最低連続11時間の休息時間を取る」ことを義務化しました。11時間のインターバルが確保できないときには、始業時刻が定められている場合でもその時間に出社する必要はなく、また出社しなかった時間に対する賃金カットも発生しないという制度でした。
日本では、情報労連が2009年の春闘からインターバル制度の導入を方針に掲げ始めました。情報労連の取り組みなどがきっかけで注目が集まり、連合の春闘方針にも本制度の導入促進が掲げられることに。これらの流れを受け、他の産別でも導入の動きが生まれ、本制度が広く周知されるようになりました。
また厚生労働省は、勤務間インターバル制度を導入した会社に最大100万円の助成金を2017年から支払う施策を発表しました。法的な強制力は持たないものの、過重労働に対する一定の抑止につながる効果が期待されています。
長時間労働が続いた場合には、脳・心臓疾患や精神疾患などの心身障害を引き起こすリスクが高まると言われています。これらの発症を防ぐためには仕事の量を抑制し、残業や時間外労働などに歯止めをかける必要があります。しかし個人の裁量で仕事量をコントロールするのには限界があるため、過重労働を抑制する仕組みを会社の制度として整える必要があります。労働組合はインターバル制度などの導入を促し、長時間労働に陥らないための環境整備を働きかけていくことが求められます。