「ストライキに参加したら解雇された」「労働組合の役員であることを理由に減給された」「団体交渉を拒否された」「組合から抜けるよう促された」など、組合活動が経営者によって妨害される事例は後を断ちません。これらはいずれも「不当労働行為」と呼ばれ、労働組合法第7条で禁止されています。組合活動は労働者の権利として法律で保障されており、こうした行為は許されるべきではありません。
労働者が経営者から不当労働行為を受けた場合、行為があってから1年以内であれば、労働委員会という行政機関に救済を申し立てることができます。そして、労働委員会による審査(調査と審問が行われる)の結果、不当労働行為と認定されれば経営者に対して救済命令(強制力のある行政命令)が出され、認められない場合は棄却されます。救済命令の内容は、「復職させる」「賃金を支払う」「団体交渉に応じる」「組合活動への介入や支配を禁止する」「謝罪文を掲示する」などです。審査の過程で話し合いによる解決が見込める場合は、労働委員会から和解を勧められることもあります。
こうした労働委員会への救済申し立ては応急措置として有効ですが、原因を根本から解決することはできません。なぜなら、「労働組合=経営に不利益をもたらす」と経営者が組合活動を誤解している場合、不当労働行為が再発する可能性が高いからです。実際は、組合活動によって職場環境の改善が進み社員の定着に繋がったり、社員同士のコミュニケーションを通じてチームワークが強化され、業務の質が向上したりと、経営者にとってもメリットが期待できます。ですから、組合活動が経営者にとってもプラスになることを理解してもらうことが重要なのです。
では、経営者に組合活動を正しく理解してもらうにはどうすればよいのでしょうか。単組だけでの働きかけが難しければ、上部団体である産別やナショナルセンターにサポートを求めるとよいでしょう。上部団体の経営者向けの周知活動と連携したり、実際に不当労働行為を受けた際にも、上部団体に依頼すればバックアップを受けることができます。単組が不当労働行為に対抗するためには、上部団体と協力して働きかけることが解決への近道と考えられるのです。