週休3日は働き方改革のスタンダードになりうるか?

2019.10.28
週休3日制の不安材料は?

 働き方改革が進むなか、「週休3日制」を導入する企業が増えてきました。週休3日制により休日が週1日増えるということは、労働者にとってはありがたく感じますが、一方では「デメリットの方が大きいのでは?」といった否定的な意見も聞こえてきます。週休が3日になるということは1週間当たりの労働時間が20%少なくなることを意味し、結果として残業が増えるのではないか、あるいは減収減益により給与が下がってしまうのではないかといった不安を生んでいるのです。

 

 ヤフー株式会社では、2017年から子育てや介護などを抱えた一部の社員を対象に週休3日制を導入していますが、土日以外の休日は無給扱いになるため、週休3日を選択している社員は給料が減ることになります。また佐川急便株式会社でもドライバーが週休3日を選択できる制度を導入していますが、その場合、勤務日の労働時間が2時間ほど増える結果になっています。

デメリットばかりではない

 では、週休3日制がもたらすメリットはどうでしょうか。働く時間が減る分、人手不足がより深刻になりそうなものですが、「週休3日制」は「働きやすい企業」のアピールとなり、求人に応募してくれる人が多くなることが期待されます。実際、前述の佐川急便株式会社では、週休3日制の背景にドライバーの人手不足の解消という目的もあったようです。また、労働時間が短くなるということは、社員一人ひとりが効率的な働き方をしなければならず、そのことがかえって生産性の向上につながるのではないかとも考えられています。

 

 2019年8月に週休3日制を試行した日本マイクロソフト株式会社※1 の場合は、社員の創造性を向上させることを目的に導入したようです。同社は週休3日制とともに、休暇中のスキルアップやボランティア、家族サービスに10万円までの支援金を支払う制度も試行。休日が1日増えることで職場以外での活動などによって刺激を受ける機会の創出につながり、普段の仕事では思いもよらなかったアイデアや創造性を生み出す効果を期待しているといいます。

 

 海外でも、週休3日制を導入したニュージーランドの金融サービス企業であるPerpetual Guardianの調査によると、社員のストレスレベルが軽減しただけでなく、生産性が20%も向上し、総作業量にも大きな変化はなかったというデータも出ています※2 。

 

 とはいえ「週休3日制」の効果検証については現状では難しく、導入した企業すべてで上記のような効果が得られるのかどうかは、まだまだ未知数です。

 

 メリットが勝り、導入企業が増えていくのか。逆にデメリットを重く見て、様子見をする企業が増えるのか。今後の動向が注目されます。

 

※1 2019年8月中の試験的運用となります。
※2 出典: https://news.yahoo.co.jp/byline/yatsuzukaeri/20180726-00090808/ 
        https://news.livedoor.com/article/detail/16048018/

時事コラム】の他の記事