連合・労働組合ブランドの構築に向けて
6月25日、連合は第1回構成組織・地方連合会 広報・教育担当者会議を開催した。昨年10月に連合本部に新設された「広報・教育局」が中心となり、第1部では同局設立の背景や役割、今後の取り組みなどについて説明。第2部では、労働組合のブランド戦略(講師は弊社代表 鹿野和彦が務めました)をテーマとした基調講演と、損保労連と連合愛知による広報および教育活動の事例紹介が行われた。
組織率の低下やワークスタイルの多様化が進む中で、連合はその存在意義や活動についての認知拡大が労働運動のパワーアップに不可欠だと認識している。杉山豊治 広報・教育局長も、「連合が誰のための組織で、何をめざしているのか、という明快なイメージを醸成しなければ、どんな取り組みをしても共感を得ないし、浸透していかない」と話し、そうした背景のもと、広報・教育局は連合ブランドの構築・浸透と情報発信力の強化、さらに人材育成の牽引役を担っていく。
担当者会議では、同局が現在取り組んでいる施策および今後の活動を報告。機関誌「月刊連合」の戦略的活用や、ホームページ、フェイスブック、ツイッター等の活用など、組織外への積極的・効果的な発信のみならず、組織内の意識の共有、方向性の統一が重要であることを伝えた。
第2部の基調講演でも労働組合における「ブランド」の在り方を考え、「ミッション(何のために存在するのか)」「ビジョン(未来をどのように描くのか)」「コア・バリュー(大切にするもの、根幹となる価値観)」の明確化が不可欠であると定義。労働組合の先進事例やNPOの成功事例を紹介しながら、ブランド戦略を成功に導くためのノウハウを整理した。さらに、「当事者意識の醸成」と「前例主義からの脱却」といった内側からの変化が、ブランド戦略の成否を左右するとし、連合・労働組合自身のブランドの構築に向けた戦略的な対応の必要性に言及した。
また、広報・教育に注力している損保労連と連合愛知からは、それぞれの活動内容が紹介された。損保労連は広報誌や政策・提言集の発行のほか、単組役員を対象とした研修・セミナーの充実に力を入れ、連合愛知は、構成組織や地協と連携した月1回の街頭宣伝活動、ラジオ番組・CMなどのメディア広報にも積極的に取り組んでいる。マスコットキャラクター「ここあ」の制作をはじめ、愛知県経営者協会との協同事業「高校生のための出前講座」の開催など、多角的な活動を特徴とする。
連合本部では現在、ブラック企業問題をテーマとしたドキュメンタリー・テレビ番組(「若者たちの本音を聞け(仮)」9月放送予定)の制作をスタートさせた。労働組合の存在とその必要性を広く社会にアピールする起爆剤として期待を寄せている。