連合結成30周年記念事業 ゆにふぁん

2019.11.27【現場レポート

支え合い・助け合い運動を全国の仲間に

10月1日、連合(日本労働組合総連合会)は、東京大学伊藤国際学術研究センター(東京都文京区)で「ゆにふぁんオープニングカフェ」を開催しました。今回は、連合結成30周年記念事業として立ち上げた「ゆにふぁん」の概要を紹介するとともに、オープニングカフェの内容をダイジェストでお伝えします。

 
■ゆにふぁんってなに?


連合が支え合い・助け合いのプラットフォームを立ち上げ

 「ゆにふぁん」は、連合の構成組織・地方連合会や、連合と連携するNPO・NGOなどの団体が取り組んでいる社会的に価値がある“支え合い・助け合い”の活動を、連合のホームページ「ゆにふぁんマップ」を通じて、多くの皆さんに知ってもらい、個人の意思で活動に参加し、物資や資金などで支援することができる仕組みの構築と社会に広げていく運動です。

 

 
■「ゆにふぁんマップ」でなにができるの?

1)団体情報・活動の紹介
2)ボランティアやイベントへの参加や物資支援の呼びかけ
3)クラウドファンディングと連携した支援金の呼びかけ

 
■対象となる社会貢献活動は?

1)雇用・就労支援
2)貧困対策
3)子どもの教育支援
4)福祉(障がい・介護など)
5)植林・環境保全
6)フードバンク
7)地域における相互扶助活動
8)災害復旧・復興支援
9)DV・虐待からの救出・保護・支援
10)その他、連合が認めた活動

 
 ゆにふぁんオープニングカフェでは、基調講演とパネルディスカッションが実施されました。その内容の一部を紹介します。

 
■基調講演

テーマ:「支え合い・助け合い運動~ゆにふぁんに期待すること~」
講師:宮本太郎氏(中央大学法学部教授)

「新しい社会問題に対するアプローチが必要」と宮本氏

 ゆにふぁんは、連合が社会に対して支え合い・助け合いのあり方を示していく、画期的な取り組みです。ゆにふぁんは以下の3つの流れから生まれました。

 
1.新しい生活困難・社会問題
2.新しいお金の流れ
3.労働組合の新しい課題

 
 ゆにふぁんは、国や自治体が税金や社会保障で対応し、解決してきた問題ではなく、これまでの制度ではカバーできない問題を解決できる仕組みです。新たな問題を解決するためには、新しいお金の流れが必要になります。ゆにふぁんを通して、少しのお金を出し合って、少しずつ取り組みに参加することで、新たな生活困難や社会問題を解決に導くことにつながっていきます。
 近年は、これまでの制度の狭間で生まれた問題が増加する傾向にあります。80・50問題(80代の親の年金を頼って無職の50代の子が同居する問題)、引きこもり問題、虐待問題などが発生し、それに伴って新たな生活困難層が増えています。この新たな生活困難層に対しては、政府が対応しきれない現状があります。この絡み合った問題を解決することに労働組合が関わり、新たなお金の流れを生み出した点に、ゆにふぁんの意義があると思っています。

 

■パネルディスカッション
テーマ:「ゆにふぁんがつなぐ支え合い・助け合い、ゆにふぁんが創り出す“民”の力」
・コーディネーター
逢見直人氏(日本労働組合総連合会会長代行)
・パネリスト
宮本太郎氏(中央大学法学部教授)
村木厚子氏(元厚生労働省事務次官、首都圏若者サポートネットワーク顧問)
米良はるか氏(READYFOR株式会社代表取締役CEO)
大黒雅弘氏(日本労働組合総連合会 宮城県連合会事務局長)

 

支え合い・助け合いの新たな枠組みについて討論

村木氏:
 家族にたよれない虐待を受けた子どもがたくさんいます。そんな中、社会的なサポートが手薄になっているのが、児童養護施設から一人立ちした子どもです。生活が困難な場合でも、相談できる場所がない現状があります。そこに対して支援を行うことを目的に立ち上げたのが、首都圏若者サポートネットワークです。ゆにふぁんを通して、このような生活困難者に対しても、支援の手をさしのべていただければ幸いです。

 
米良氏:
 クラウドファンディングは、インターネットを通して、さまざまな取り組みに対して資金を集めるサービスです。既存の金融の仕組みからは、お金が流れないような地域貢献活動、社会的な活動に対し、不特定多数の方から共感を得て、資金を集めることで、活動を支えています。今回、ゆにふぁんを通して、より良い社会を生み出す活動に関われることを光栄に思っています。

 
大黒氏: 
 連合宮城は、東日本大震災においてさまざまな人の支援に支えられてきました。また、震災を体験し、ネットワークがあるからこそ、支援が受けられることを痛感しました。ゆにふぁんは誰もが少しずつ参加できる活動です。宮城のみならず、全国の被災地を支援する活動を行っていくことで、労働組合の社会的価値を高めていければと考えています。

 
宮本氏:
 高齢化、環境問題、人口減少など、地域が衰退する流れは続いています。それに伴って、地域で元気をなくしている人も増えている現状があります。そのような人を巻き込む運動にしていくことで、ゆにふぁんの取り組みはひろがっていきます。地域をまとめて、つなげていく力をもつのが労働組合だと思っています。

 
逢見氏:
 ゆにふぁんの活動は本日がスタートです。連合の新たな活動の柱として、さらに大きく育てていきたいと思っておりますので、ご協力をお願いします。

 
 オープニングカフェを終え、連合の南部美智代副事務局長は、「連合で支え合い・助け合い運動の新たなプラットフォームをつくりました。ユニオンのファンを増やそう、という願いを込めて、ゆにふぁんと名付けました。皆さんが地域で実施している活動を、このゆにふぁんマップに載せていただければ、取り組みに広がりが生まれます。また、ゆにふぁんに参画することで、新しい出会いが生まれると思いますので、ご協力のほどよろしくお願いいたします」と労働組合や組合員に対してメッセージを送りました。

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