JAL労働組合 羽田整備支部/工場見学

2016.3.31【現場レポート

“労組が実施する工場見学”で、
より多くの人に航空産業の魅力を伝える!

巷で人気の工場見学を、労働組合の活動目標のひとつとして取り組んでいるのがJAL労働組合羽田整備支部です。
労働組合で工場見学を実施する意義とは? 委員長の舛井氏と書記長の朝野氏にうかがいました。

労働組合で工場見学を実施する目的を教えてください。

JAL労働組合 羽田整備支部
朝野 裕樹 書記長(左) 舛井 祐介 委員長(右)

舛井:
 工場見学は、他の産別や単組との交流、また労働組合を通してより多くの方に航空産業の魅力を伝えることを目的に実施しています。ときにはJAL労働組合の客室乗務員で構成される客乗支部が、組合員教育の一環として訪れることも。同じ会社とはいえ日頃あまり接点がないので、お互いの仕事を知るいい機会であり、職場間の相互理解につながっています。

 

どのような見学をするのですか?

朝野:
 見学内容は通常のプログラムと同じく、格納庫とスカイミュージアム(展示エリア)を、約2時間でまわります。飛行機を間近で見られるので迫力満点ですよ。参加される方のなかには、航空会社が行っている安全面への取り組みを知る目的で見学する方もいらっしゃいます。
 引率は、我々羽田整備支部の執行委員が担当。整備士や間接部門で働く組合員が説明をするので、より現場に直結した話や仕事の裏話が聞けます。仕事の実情が垣間見られることも、労働組合が工場見学を実施する利点ではないでしょうか。
 

実際に現場で働く方が案内をしてくださるのですね! 引率をするうえで心がけていることはありますか?

舛井:
 “わかりやすく伝えること”です。我々の業界では、仕事に関する専門用語が頻繁に登場するので、それをいかにわかりやすく伝えるかは常に意識しています。たとえば飛行機は、機体の安全性基準を満たしているという「耐空証明」がないと飛べません。それをそのまま説明してもなかなかイメージできないと思うので、車の車検証にたとえて紹介します。

案内役は、現場をよく知る組合員が担当。仕事の裏話も聞ける!?

 もともと人前で話すこと、説明することに慣れているわけではないでので、最初は戸惑いました。けれど引率回数を重ねるごとに、皆さんの興味ある話や盛り上がるツボがだんだんわかってきます。“この話をしたら喜んでくれるかな”とあれこれ考えながら説明をし、予想通りのリアクションをとってくれたときは嬉しいですね(笑)。なかには何度か参加していただいている方もいるので、その方達にも毎回新たな驚きや発見があるよう、我々も引き出しを増やさなければいけません。
 

見学者はどうやって募っているのですか?

朝野:
 我々が組合執行部として外部活動に参加する機会があるので、そこで知り合った方にご案内することが多いですね。上部団体である航空連合のつながりで引き受けることもあります。羽田整備支部では、例年年間で10~15回ほど、300名前後の方をご案内しております。通常の業務や組合活動をしながらの工場見学のため、対応しきれない場面もありますが、なるべくたくさんの方を受け入れたいという想いがあるので、うまく日程を調整しながら、今後もできる限り対応していきたいです。
 

工場見学をやっていてよかったと思うのはどんなときですか?

格納庫見学。運がよければ飛行機を間近で見られる。

舛井:
 やはり皆さんから「感動した」や「おもしろかった」という声をいただいたときですね。航空産業の魅力を少しでも知っていただけたと実感できますし、我々のモチベーションにもなります。
 
朝野:
 自分達があたりまえだと思っていることが、見学者の皆さんにとっては驚きだったり発見だったりします。それがとても新鮮ですね。“そういう見方もあるのか”と、案内をしながら我々も新たな気づきが得られますし、お客さま視点に立ち返るきっかけになります。
 

これからの取り組みについて教えてください。

舛井:
 工場見学を通してやりたいことはたくさんあります。そのひとつが人材育成です。飛行機の整備士にはどうすればなれるのか、知っている人は少ないでしょう。子ども達や学生の皆さんに、整備士の魅力、延いては航空産業で働く人達の魅力を伝えることに力を入れたいですね。学校訪問などで仕事内容を伝えることも大事ですが、実際に見ていただいたほうが心に残ると思うので、そういう意味でも工場見学の重要性や役割は増してくると思います。
 女性の活躍についても同じ。以前より女性の整備士が増えたとはいえ、まだまだ少ないのが現状です。我々の組織でも執行委員15名のうち女性は1名。工場見学を通して整備士に興味をもつ女性が増えたら嬉しいですし、労働組合としても女性活躍推進に対する取り組みを強化しなければいけないと考えています。
 
朝野:
 これからもたくさんの方に当社の飛行機を見て安心していただき、結果として一人でも多くの方がJALファンになってくだされば嬉しいです。自分達が働く会社を気に入ってもらい、選んでもらえる。これ以上の喜びはありません。ファンが増えるのは会社にとってもいいことですし、それが結果的に組合員の労働環境や生活の改善にもつながります。労働組合が工場見学を実施することで、その機会や幅を広げていきたいです。2020年には東京オリンピック/パラリンピックも開催されるので、諸外国の労働組合も積極的に受け入れ、海外の方にも当社を見てもらいたいですね。

 
― ありがとうございました!
(取材日:2016年2月24日)


JAL労働組合
http://www.jalfio.or.jp/visitor/
 
JAL工場見学 SKY MUSEUM
https://www.jal.co.jp/kengaku/facility/

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