中央ろうきんシンポジウム『いま、なぜ若者応援が必要なのか?』を開催

2014.11.5【現場レポート

困難を抱える若者の“いま”に対し、
各労働団体が支援のあり方を提言

2014年10月4日、全電通労働会館(東京都千代田区)で中央ろうきん社会貢献基金が、『いま、なぜ若者応援が必要なのか?』をテーマにシンポジウムを開催しました。社会的に孤立する“はたらきたくても、はたらけない”若者が増えている現状を伝えるとともに、労働組合、NPOなどが担うべき若者に対する支援のあり方を議論したシンポジウム。今回はその中から基調講演とパネルディスカッションの内容をダイジェストで紹介します。

 
≪基調講演≫
「社会的に孤立する若者の“はたらく”を支援するために、いま必要なこと」
湯浅 誠(社会活動家、法政大学教授)

若者の労働問題は他人事ではない
当事者意識を持つことが問題解決の第一歩

 若者の働き方を考える際に重要なのは、若者側に問題があるという視点で一方的に論じないことです。特に、働くことが困難な若者が増えた理由として、「若者はコミュニケーションが取れなくなった」という点をあげるケースが見受けられますが、若者は本当にコミュニケーションが取れないのでしょうか。むしろ大人側が若者に対して、きちんと会話ができていない状況が顕在化していると考えられないでしょうか。

「当事者意識を持って若者と向き合ってほしい」と湯浅氏

 まず私たちは、「大人側にも問題があるのでは」と疑ってみることが大切です。他人事ではなく、当事者として若者に向き合わなければ、問題は解決できません。
 それを踏まえたうえで、若者の支援策としてポイントになるのが、「教育的サポート」と「“なりわい”空間の提供」の2点が挙げられます。格差社会の拡大により、教育的な格差が広がる状況があります。問題なのは、2極化が固定化し、交わらなくなること。それにより、働き方が固定化し、弱い立場から抜けられなくなることです。
 また、「“なりわい”空間の提供」というのは、多様な働き方を認め、一般就労だけを支援の目的に置かないことを意味します。大人たちの多くは、「一般就労=働けること」と思いがちですが、その段階までたどりつけない若者はたくさんいます。若者たちの状況に応じた “なりわい”を生み出し、多様な働き方ができる環境を整備することも大切なのです。
 労働組合やNPOなどの団体は、ぜひこの2点にも関与してもらいたい。弱者に対しても教育の場を提供し、働く環境を整えてほしいと思っています。

 

≪パネルディスカッション≫
「若者が安心してはたらき続けることのできる社会とは」
<パネリスト>

若者への支援方法をそれぞれの立場で提言

・村上陽子
(日本労働組合総連合会 非正規労働センター 総合局長)
・中野謙作
(一般社団法人栃木県若年者支援機構 理事長)
・塩山 諒
(NPO法人スマイルスタイル 代表)
・石原康則
(社会福祉法人電機神奈川福祉センター 理事長)
<コーディネーター>
・大塚敏夫
(労働者福祉中央協議会 事務局長)

 

村上
就労前に、働くルールを伝えることが重要
多くの若者は、労働基準法などの働くルールを身に付けないまま就労しています。働くことに対する客観的な基準を持たないため、職場の状況がおかしいかどうかが自分でジャッジできないケースが見受けられます。就労前の労働教育に対して、労働組合はさらに関与すべきだと考えています。
 
中野
自立の段階ごとのサポートが必要
若者が自立するためには、それぞれの段階で適切な支援が必要になります。「ひきこもり」「仕事が続かない」など、若者の置かれている状況はさまざまなため、個々の状況を見極めながら、中間的就労を生み出すことが重要です。
 
塩山
考えるより行動を。できるところからやってみる
若者の働き方を支えるためには、地域におけるネットワークが必要になります。行政、NPO、労働組合など、それぞれの立場や役割によって、できることはさまざまです。まずは、できることから一つずつ積み上げ、それを連携させることが重要だと思います。
 
石原
労働組合は障がい者の働く場も確保
障がい者の法定雇用率は2013年に1.8%から2.0%へと引き上げられました。けれども、雇用率を達成している民間企業は半分にも満たない状況です。労働組合は、法定の2.0%を厳守させることで、障がい者の雇用を確保してもらいたいです。
 
大塚
若者を支援する団体へのサポートも必要
若者が持つさまざまな悩みや孤立感に対応するためには、一団体だけでのアプローチではカバーできず、団体間の横のつながりが必要になります。また、支援団体に対する支援もなければ、長期的なサポートは続けていけないと考えています。

 

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