神奈川県労働者福祉協議会・タオル一本運動

2015.5.14【現場レポート

善意を広げ、地域社会に貢献
タオルでつなぐ支え合いの輪

神奈川県労働者福祉協議会は、神奈川県内の福祉施設にタオルを寄贈する「タオル一本運動」を2015年から展開しています。タオル一本運動を通した社会貢献とはどのようなものなのか──地域目線、運動者目線に立った取り組みを紹介します。

一過性の運動では終わらせない
タオル一本運動を持続的に展開

 4月29日、神奈川県のメーデー会場となった臨港パーク(横浜市西区)には、約1万人の労働者が集結した。スカイブルーの幟がはためき、会場の注目を集めるのが、神奈川県労働者福祉協議会と横浜労働者福祉協議会が共催で出店した「タオル一本運動」のブースだ。
 午前10時。メーデーの開始時刻になると、ブースに設置した机上には次々にタオルが積まれていく。一人、また一人と、タオルを片手にブースを訪れ、その流れは途切れることがない。神奈川県労福協の市川敏行事務局長は、「タオル一本運動は今年がはじめての取り組みなのでタオルが集まるかどうか、内心不安でした。協力していただける方が、これほど多いことに心から感謝しています」と胸をなで下ろした。
 神奈川県労福協が、社会貢献活動の中で「タオル一本運動」に着目したのは、地域に根差した活動をめざしてのこと。誰もが気軽に参加でき、地域のためになる社会貢献のあり方を模索した結果、この運動へとたどり着いた。

メーデーの開始直後にはタオルが山積みに

 「タオル一本運動」は、未使用のタオルをメーデー会場に持参してもらい、集めたタオルを神奈川県内の介護施設や老人福祉施設、障がい者福祉施設に寄贈する取り組みだ。神奈川県内の労働者福祉協議会と労働組合を中心に、ポスターやチラシで告知し、運動への参加を呼びかけた。運動を展開するにあたり、事前に福祉施設に足を運び、現場へのヒアリングを行っている。
 「福祉施設の担当者にお会いしたところ、『タオルは何本あっても助かります』との声をいただきました。タオルは身体を拭くこともでき、古くなったら雑巾としても使用できるため、福祉の現場では重宝するとのこと。その意見を聞き、運動を展開する決意を固めました」(市川事務局長)
 メーデー当日、ブースに寄せられたタオルの本数は合計4,585本。50本をワンセットにして、各福祉施設へと寄贈される。福祉施設の利用者の手にタオルが届いたとき、タオル一本運動は終わりを迎える。

 

チラシを手渡し、参加を呼びかけ     

 メーデーでの取り組みを終え、市川事務局長は、「東日本大震災のときの経験から、何かできることを見つけ、社会の力になりたいと思う人は増えていると感じます。神奈川県労福協では専門委員会を設けて組織のスケールメリットを発揮した善意に応える活動ができないかと模索してきました。タオル一本を持ち寄ることは、小さな善意かもしれませんが、多くの仲間の善意の輪を広げることが社会貢献につながり、地域の役に立つことを、タオル一本を通して共有できたと感じています」と語った。
 神奈川県労福協では、「タオル一本運動」を一過性の取り組みに終わらせるのではなく、活動の範囲を神奈川県全域に広げ、運動を持続的に展開する方針だ。

 

 

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