ヤマト運輸労働組合 新東京支部/育休意見交換会

2016.8.26【現場レポート

育休中も会社の仲間と話せる場をつくることで
安心して復職できる職場をめざす

ヤマト運輸労働組合新東京支部では、2年前に労使間で女性委員会を立ち上げ、職場見学会やラテアート&学習会など、女性にスポットをあてた活動を積極的に行っています。今回は、今年初めて開催した「育休意見交換会」について、支部執行委員長の高城氏にお話しを伺いました。

まず、会社と組合が合同で女性委員会を立ち上げた経緯を教えてください。

女性委員会であいさつをする高城 支部執行委員長

 弊社は男性ばかりの職場と思われがちですが、年々活躍する女性は増えています。男女ともに働きやすい職場環境が求められますが、これまで男性中心だったので“女性が働きやすい”に追いついていない部分があり、さらに女性管理職が少ないため、“女性特有の問題が発生しても、誰に相談したらいいのかわからない”という声も増える傾向にありました。
 しかし当支部は170近くの建屋があるので、会社側だけですべての声を拾い、問題を解決するのは容易ではありません。そこで組合も一緒に取り組もうと、労使一体となって女性委員会を発足したのです。組合を通して皆で問題を共有すれば、該当者ではない組合員にも当事者意識をもってもらえるという期待もありました。
 現在は管理職、社員、パート社員、組合役員がメンバーとなり、立場にとらわれず、“女性が働きやすい職場にするためにはどうしらいいか”を皆で考えながら活動しています。

 

なぜ「育休意見交換会」を開催しようと思ったのですか?

 育児休業取得者が、産休に入ってから復帰するまで会社と連絡を取り合わないという話しを聞いたのがはじまりです。これでは育休取得者も職場も、お互いの状況がまったくわかりませんよね。
 そこで、「育休者と会社がお互いの状況を把握すること」、「育休者が復職後働きやすい職場をつくるために、抱えている悩みや問題、会社や組合への要望を知ること」、「育休者同士のネットワークをつくって情報を共有し合い、少しでも不安を和らげてもらうこと」を目的に育休意見交換会を開催。当日は、育休を取得している2名の組合員のほか、会社側から人事総務課長、所属の上長、人事総務課スタッフ、組合側から女性役員、育休取得経験がある職場委員が参加しました。

 

実際に、どのような意見が交わされたのでしょうか?

 一番印象に残っているのは待機児童問題についてです。地域ごとに保育園の実態が異なるため、育休者同士、住んでいる地域の情報を熱心に交換していましたね。いくら復職したくても、この問題をクリアしなければ先に進めません。待機児童問題は、育休者にとって大きな壁であることを、会社も組合も再認識しました。
 育休を取得している皆さんは、休業中の職場の状況や、仕事がどのように進められているかも気にしており、上長から話しを聞いて、“復職したら仕事と育児をどう両立するか”など、職場や仕事に対する不安、さらには不満や愚痴まで(笑)、ざっくばらんに話していました。
 そこから派生した“もし会社に託児所や保育園をつくるなら”というテーマでは、“この職場は交通が不便”や、“待機児童が多いから地域の人達にも喜ばれるのでは”などの意見が飛び交い大盛り上がり。最終的に、当初予定していた時間を大幅に超えてしまいました。

 

今回の会を開催するにあたり、気をつけたことや心がけたことはありますか?

会は、和気あいあいとした雰囲気のなかで行われました。

 子どもと一緒に参加できるようにしたので、ベビーカーでも来やすいよう駅からの導線を考慮した会場を選びました。ベビーベッドや、子どもが走り回っても危なくないようにカーペットがある部屋も用意。スタッフが子どもの面倒を見るなど、参加者に負担をかけず、気軽に来てもらえるよう心がけました。
 参加者からは、“子どもを気にせず、気兼ねなく話しができた”、“電車のラッシュとかぶらない時間だったので参加しやすかった”、“昼食が用意してあったので家事の負担が減り、いい気分転換になった”と好評でした。

 

組合として、得られた気づきや成果はありましたか?

 国や会社の制度として産休や育休、短時間勤務などが整備されていますが、現状は子どもを預けられる施設が少ないため、制度があっても復職することは簡単ではありません。育休者の育児と仕事の両立に抱く不安は、我々の想像以上でした。
 しかし職場の仲間と久しぶりに会い、話したことで、皆さん復帰に前向きな気持ちになったようです。「また開催してね」、「次はいつ?」と、2回目の開催を要望されたときは、育休意見交換会を開いて本当によかったと思いましたね。
 また、今回の会を開催するにあたり、事前に議題や資料を準備しなければいけないと思っていましたが、皆さんが望んでいるのは“話しをする場”であり、そこまで構えなくてもいいことがわかりました。

 

最後に、今後の取り組みについてお聞かせください。

 育休意見交換会は、今後も開催していく予定です。これから産休に入る組合員や、育休を取得しようと考えている男性組合員にも来ていただきたいと考えています。参加することで、復職に対する不安を少しでも払拭するとともに、職場から離れている間も“会社とつながっている”という実感を持ってもらえたら嬉しいですね。
 また、今回参加した方の話しを聞くと、会社のことを真剣に考え、キャリアアップへの意欲や向上心がある女性組合員が多いことがわかりました。正社員、パート社員問わず、希望するキャリアを積める機会を設けていただけるよう、組合として、会社に働きかけていきたいと思います。

 
― ありがとうございました!
(取材日:2016年8月2日)


ヤマト運輸労働組合
https://www.yamato-union.jp/index.php

現場レポート】の他の記事